『アナと雪の女王2』★★★★☆
いわずと知れたディズニーの名作、アナと雪の女王の続編です。ドルビーシネマ吹き替えで鑑賞しました。
素晴らしい曲と、男女の愛ではなく姉妹愛をテーマにし、ディズニーらしからぬ試みによる予想外の展開によって圧倒的な人気を誇った前作の続編です。
今作は前作の3年後を描いており、エルサやアナ、クリストフオラフが楽しく暮らしている描写から始まります。
2作目の余裕。笑い要素が充実。
まずはオラフのこども人気に驚きました。正直大人から見ると少し寒いギャグも多いのですが、こども達には終始大ウケで、あんまりこどもたちが笑うのでつられて笑ってしまいました。
そんな中、物語中盤でオラフが「この感情・・・怒り?」みたいな生まれて初めて怒りに目覚めるシーンがありましたが、オラフらしからぬ発言にすごくハラハラしました。
「オイオイオイ、こども達が大好きなオラフさんがマジギレしないでよ・・・キャラ崩壊でこども達引いちゃうじゃん・・・」
と心配しましたが、何とかマジギレはしませんでした。ホッとしました。
新キャラのサラマンダーはすごく可愛いです。完全に爬虫類好きホイホイでした。ラプンツェルのカメレオンといい、制作陣に爬虫類好きがいるんじゃないでしょうか。
2作目ということで余裕があるのか、全体的に前作よりも笑い要素が多かったです。クリストフのシーンとか。ああいうのは海外ウケの方が強いでしょうね。
あとエルサがLet it goを黒歴史のように捉えているのは可愛く、笑えました。
ストーリーの細かいところに説得力がない
今作はエルサの魔法の理由を掘り下げる内容となっています。大ヒット作の2作目ということで、よくまとめてあるとは思いましたが、やはり2作目、仕方のないことですが、急展開感は否めず、説得力のない点がありました。
まずは精霊が怒り出すタイミング。全く謎です。思い出したように怒り出しているように見えます。
そしてアレンデール王国がノーサルドラの力を弱めるためにダムをつくるというのはリスクがありすぎると思います。
ノーサルドラの民や精霊の魔法の力を恐れていたのならば、ダムが壊され王国が水でやられるのを考慮しないはずがありません。
アースジャイアントの石投げ程度でダム壊れてましたし。
今作は前作を意識して妙に辻褄を合わせようとしている節が見えるので、説得力がないところが変に気になってしまいます。
またエルサの魔法の理由を明らかにするテーマですので、前作に比べファンタジー要素強めです。
前作の、「なぜか分からないけど魔法が使えるエルサ」程度の設定が、余計なことを考えさせられず、主題である姉妹愛にフォーカスできてたんだろうなあと改めて前作の素晴らしさを感じました。
続編なので前作と比べるのはあまり良くないのかもしれませんが、曲も前作には適いません。
特に前作は「ゆきだるまつくろう」が素晴らしすぎました。「ゆきだるまつくろう」の楽しげな曲調からの急展開によって映画に一気に引き込まれましたが、今作では「のほほん感」が強く、正直序盤はダラダラ進みます。
明確な悪役を置かず、自然と人間の調和がテーマ
この映画には明確な敵がいません。前作にはハンス王子という明確な悪役がいましたが、今作は特にヴィランはいません。
強いて言うなら、エルサ達のおじいさんですが、過去の過ちとして描かれているのでヴィランというのは違うと思います。
あとヴィランと言えそうなのは精霊たちでしょうか。しかし精霊はモアナのテ・カァのような我を失った悪霊のような描写ではなく、あくまで人間の過ちを正すために行動をしていたので、ヴィランというにはやはり少し違和感があります。
明確な敵がいない中、この映画は何をテーマにしているのでしょうか。
私は「自然と人間の調和」だと思います。
精霊達の力は強大なものですが、傷つけあうための力ではありません。火も水も風も大地も人間の生活には欠かせないものです。もちろん氷もそうです。クリストフは氷売りを生業にしていました。
自然を精霊とノーサルドラ族、人間をアレンデール王国の人々に重ね、自然の強大な力は人間が管理できるものではなく、寄り添って生きていくものであるというメッセージに感じました。
エルサは劇中で「魔法は人を襲うためのものではない」と言っていました。エルサの魔法の力は自然の力です。人間が管理して扱えるものではありません。
とすると、やはりエルサの超常的な力は人間世界では浮いてしまうことなります。
最後にエルサは国をアナに任せ、精霊として、ノーサルドラの女王として森で生きていくことを選びました。
エルサは変化を受け入れて、自らのできることを行い、前へ進むことを決めたのです。
しかし、変わらないものもあります。それはアナたちとの愛です。変わっていくものはあるけれど、変わらないものもある。自分ができることを一歩一歩やっていくことが大事、そんなメッセージの映画でした。
この既視感・・・シュガーラッシュ・オンライン?
ここまで書いて思いましたが、シュガーラッシュオンラインと少しメッセージが少しかぶっていますね。
変化を受け入れ、愛をもって、前に進むということが現在のディズニー制作陣のメインストリームなのかもしれません。
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