【映画感想】ナイロビの蜂

映画

ナイロビの蜂★★★★★

GEOでDVDをレンタルして視聴。アフリカの貧困問題にフォーカスした映画である。
主人公は、正義感の強い妻を持つ、庭弄りが趣味の典型的英国紳士タイプの英国外交官。

正義感の強かった最愛の妻が謎の死をとげたことから、妻が成し遂げたかったことを探っていくことによって貧困問題を目の当たりにするとともに、妻の主人公対する本当の愛情が次第に明らかにされていくという流れである。

映像表現が素晴らしい

原作はケニアが舞台となっているが、この映画はケニアで実際の現地住民を撮影しており、映像にリアリティがある。
また映像表現も、カメラの手振れや、ボケ、映像を重ねた表現等を駆使することにより、映画に不思議な臨場感を演出し、また揺れ動く主人公の感情表現を巧みに表現している。
映像を見ているだけで映画に引き込まれていくだろう。

主人公の心の変化は見所、貧困問題の難しさを今一度考えさせられる

このように映像はとても素晴らしいが、この映画のもっと魅力的なところは、主人公の心の変化の表現だと思う。特に心に残るのは、生前の妻が主人公に訴えかけていた「目の前の弱者を助けたい」という言葉を、当初は若干ながら疎ましく感じていたであろう主人公が、物語の終盤には妻と同様の言葉使い、涙ながらに訴える場面である。

目の前にいる弱者は氷山の一角であるから、目の前の弱者を助けることができても、全ての弱者を助けることはできない。理屈では分かっていても、目の前の弱者を助けたいと感じることは果たして悪なのだろうか。偽善なのだろうか。困っている人に手を差し伸べるのが人間なのではないだろうか。

とはいえ、現実的には全ての人を助けることはできないという事実に心が痛くなる。
この主人公の心の変化の過程と、妻が主人公に対して抱いていた真実の愛に涙する。命に重さはあるのか。貧困問題を解決するためにはどうしたらよいのか。

そういったことについて今一度考える機会を与えてくれる素晴らしい映画であった。

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